統合失調症は妄想(現実とは異なる思い込み)、幻覚(現実にはない声が聞こえるなど異常な知覚)、 思考の障害(考えの内容がばらばらになり周囲の人には理解できなくなる症状)、陰性症状(感情が乏しくなる、 考えの内容が単調で乏しくなる、意欲がなくなるなどの症状)などを主要な症状とする精神疾患であり、10代後半から20代前半にかけて発病することが多い病気です。人口の1-1.5%のひとが発症し、その症状のために本人および社会経済に大きな苦痛と損失を与えています。
統合失調症の原因については脳内の異常にその原因があると古くから考えられていますが、十分には解明されていません。しかしこれまでの研究から、神経細胞と神経細胞の間のシナプス(図1)において信号伝達物質のひとつであるドーパミンおよびその受容体の異常が病気の原因に絡んでいるのではないかと注目されています。
その理由として、(1)統合失調症の治療に広く使われている治療薬がドーパミンの受容体であるドーパミンD2受容体を遮断し、ドーパミンによる信号伝達を遮断することによって抗精神病作用(幻覚や妄想などを軽減させる作用)を生じさせること。(2)反対にアンフェタミンやコカインなどの薬物が、ドーパミンによる信号伝達を強化させ、幻覚や妄想などの精神病症状を引き起こすことなどがあげられています。
このドーパミン神経系(ドーパミンを信号伝達物質とする神経系)は図2のように分布していることが知られています。 |