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最近PET(ポジトロン放出断層撮影法)を使ったガン検診が話題になっています。あるお薬を体に注射して、丸い大きな器械の中でじっとしているだけで、体のどこにガンがあるのかが写真のような画像として見る事ができます。では、なぜ体の中にあるガンが外から発見できるのでしょう。この魔法のような技術を解くキーワードが『分子イメージング』です。
生き物のからだはタンパク質、脂質、DNAなどのいろいろな「分子」からできあがっています。これらの分子は必要な場所に必要なだけ存在し、お互いに関係しあってハーモニーを保っています。この分子が増えすぎたり、無くなったり、あるいは形が変わる事が病気を引き起こし、ハーモニーが完全に崩れてしまえば生き物はその活動を停止します。つまり、分子のハーモニーそのものが「生きる」ことなのです。ガンは恐い病気ですが、それも生命現象のひとつで、分子ハーモニーのアンバランスが原因と言えるでしょう。
20世紀に台頭し発展したのが分子生物学という学問です。分子生物学では、生き物を分解し、試験管の中に取り出して、生き物を構成している分子を次々と見つけ出しました。言うなれば分子のカタログを作る研究で、大きな成果をあげましたが、その分子が生き物の中でどのように活動しているのかは、試験管の中ではよくわかりません。分子の本当の姿を知るには、生き物が生きている状態で直接観察するのが最も良い方法です。このように、生き物を構成している様々な分子の活動を生きたまま観察する、それが分子イメージングなのです。分子イメージング研究によって、生命現象を分子の動きからダイナミックに観察することができ、生命活動の解明が大きく進みます。また、分子イメージング研究は医学分野での応用が大きく期待されており、病気の原因解明、病気の早期診断、個別化医療や膨大な時間と費用のかかる薬の開発などにも貢献します。体の中にあるガンが発見できるのは、PETを使ってガンに特徴的な分子の動きを画像化しているからなのです。
医療とライフサイエンスに革新をもたらす分子イメージング。その展開に是非ご注目ください。
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