Forum for Nuclear Cooperation in Asia (FNCA:アジア原子力協力フォーラム) の放射線腫瘍学ワークショップ |
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FNCA とは日本政府が主導するアジア地域における原子力の平和利用協力の枠組みで、その中に「農業利用」、「医学利用」など主要8プロジェクトがあります。医学利用プロジェクトは、アジア地域で頻度の高いがんに対する最適な放射線治療方法の確立と治療成績の向上、さらにアジア地域における放射線治療の普及を目標に、1993年に活動が開始されました。プロジェクトには現在、バングラディシュ、中国、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの9か国が参加しています。中心となる活動は子宮頸癌と上咽頭癌に対する化学放射線治療に関する国際的な多施設共同臨床試験で、上記9か国の14施設が参加しています。放医研は本プロジェクトに開始当初から参加しており、臨床試験のプロトコールを立案し、また試験の事務局として各国の臨床データをまとめて解析し、試験治療の安全性と有効性を評価するなど中心的な役割を演じています。また臨床試験参加施設の放射線治療機器の品質管理のため、線量測定など物理的なQA活動も行っています。これらの臨床試験やQAのデータは、毎年開催される放射線腫瘍学ワークショップで発表され、その内容が討議されます。
各国の出席者 今年度のワークショップは、平成21年1月27日 (火) 〜31日 (水) にインドネシアのスラバヤ市で開催され、9か国の代表18名 (放医研からは辻井博彦理事、緊急被ばく医療研究センター 立崎英夫、重粒子医科学センター 水野秀之および加藤真吾) が参加しました。スラバヤ市はジャワ島東部にあるインドネシア第二の都市です。魔法のバケツで生ゴミを堆肥にするというシステムを日本人がスラバヤに紹介し、全家庭が実行したとのことで、ごみの散乱が少なく、きれいな街並みでした。
会議の風景 ワークショップではまず子宮頸癌に対する化学放射線治療の臨床試験の結果が報告されました。その治療成績は3年局所制御率81%、全生存率69%と、欧米の臨床試験の結果と比較して遜色ないもので、また遅発性有害事象は許容範囲内でした。本プロトコールはアジア地域の子宮頸癌患者にとって安全かつ有効であることが示され、現在では標準的な治療法としてアジア各国で広く用いられるようになってきています。 次に上咽頭癌に対する化学放射線治療の臨床試験の結果が報告されました。治療後6か月のCR率は95%と非常に良好な初期効果が報告され、今後の長期成績が期待される内容でした。本試験はあと1年間症例登録を継続して、その成績を評価することとなっています。
施設見学 Dr. Soetomo General Hospital ワークショップの中日には、スラバヤ市のDr. Soetomo General Hospitalを訪問しました。この病院の放射線治療部門は昨年新しくなったとのことで、途上国の病院で見かける雑然とした雰囲気はなく、清潔で洗練された環境でした。またこの病院で地域の医師や放射線技師らを対象に公開講座が開催され、各国の委員が放射線治療に関する最新の話題について講演しました。 風俗習慣が異なるアジア地域で共同臨床研究を行うことは、ルールの遵守や追跡調査などで困難なことが少なくありません。しかしこのプロジェクトでは10年以上にわたって共同研究を続けてきた結果、質の高い臨床試験が行えるようになりました。FNCAのプロトコールを放射線治療医の教育プログラムに用いるようになった国もあり、この活動は十分に成果を生み出していると考えられます。 重粒子医科学センター病院 |
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