2.4 外部資金研究等



2.4.2 その他の外部資金研究

2.4.2.1 放射能調査研究

12. 環境中の炭素−14の濃度調査

府馬正一、井上義和*、鹿島明子、西迫宗太
(比較環境影響研究グループ、*国際・研究交流部)


1. 目的
環境中の14Cの主な起源は、自然生成、大気圏核実験および核燃料サイクル関連施設などである。14Cは半減期 (5730年) が長いために、集団線量預託への寄与が無視出来ないと考えられている。14Cが集団に及ぼす線量影響を起源毎に評価するためには、施設の影響のない自然環境と施設周辺環境における14Cレベルの長期間の時間推移と変動および地域分布などに関するデータが不可欠である。

自然生成および核実験起源の14Cの環境レベルを把握する目的で、1960年代初頭より現在に至るまで、主に日本産の植物精油と発酵アルコールを測定試料として14C濃度 (比放射能、dpm/gC) を測定してきた。植物では、ある年に生育した部分の炭素中の14C濃度は、その年の大気中の二酸化炭素中の14C濃度を良く反映すると考えられるので、測定値は、飲食物の摂取を通じて人体に摂取される14C濃度を推定し、線量評価を行う際の有用なデータとして使用出来ると考えられる。


2. 方法
今年度測定した試料は、主として2001年に日本で収穫されたブドウを原料として発酵醸造されたワインである。これらのワインから、蒸留法によりアルコールを抽出した。比重を測定して正確なアルコール濃度 (約90〜94%) を決定後、その10mlを同量のトルエンシンチレータと混合し、液体シンチレーションカウンターPackard社製 TRI-CARB 2000CAで1試料当たり500分間測定した。バックグラウンド (BG) 計測試料は、同量の合成アルコールを用いて調製した。この測定法では、1試料に導入できる炭素量は約4gであり、測定効率は61 %、BG計数率は5.6cpmであった。


3. 結果
ブドウの生産年が2001年のワイン6銘柄の測定結果を表-1に示した。日本各地の14C濃度は、14.5±0.1dpm/gC〜15.2±0.1dpm/gCの範囲であった。平均値は、14.9±0.2dpm/gCであった。測定誤差を考慮すると、14C濃度の地域差は認められず、日本の14C濃度は工業地帯を除いてほぼ均一であると考えられる。1980年から1989年までの10年間の14C濃度は、年減少率約0.20dpm/gCで低下してきた。その後、1990年から1999年の10年間は、15.6dpm/gC〜14.9dpm/gCと緩やかな減少傾向を示した (年減少率約0.07dpm/gC) 。測定誤差を考慮すると、2001年の14C濃度は2000年 (14.6±0.2dpm/gC) と同一であると考えられるので、14C濃度の減少が下げ止まりつつある可能性がある。

2001年度に購入したワインのうち、原料 (ブドウ、ブルーベリー) の生産年が2001年以外のもの3銘柄の14C濃度は14.8±0.1dpm/gC〜15.4±0.1dpm/gCとなった (表-2) 。これらの値は最近数年間の測定結果と同一レベルであった。

表-1 日本の2001年産ワインの14C濃度
試料# ブドウの産地 14C濃度
(dpm/gC)
計数誤差、
1SD(dpm/gC)
1 北海道 15.2 0.1
2 長野県 15.0 0.1
3 山梨県 14.9 0.1
4 愛知県 14.5 0.1
5 大阪府 14.8 0.1
6 兵庫県 14.7 0.1
2001年 平均値=14.9±0.2 dpm/gC (1標準偏差)


表-2 日本の他のワインの14C濃度
原料 原料の生産年 原料の産地 14C濃度
(dpm/gC)
計数誤差、
1SD
(dpm/gC)
ブドウ 1999 岡山県 14.8 0.1
ブルーベリー 不明
(2001年11月購入)
石川県 15.0 0.1
ブルーベリー 不明
(2001年11月購入)
静岡県 15.4 0.1



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