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独立行政法人 放射線医学総合研究所
中期目標
目次
序文
前文
I.中期目標の期間
II.国民に対して提供するサービスその他業務の質の向上に関する事項
III.業務運営の効率化に関する事項
IV.財務内容の改善に関する事項
V.その他業務運営に関する重要事項
【序文】
独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二十九条の規定に基づき、独立行政法人放射線医学総合研究所が達成すべき業務運営の目標(以下「中期目標」という。)を定める。
【前文】
放射線・原子力の利用に関する国民の安全・安心の確保と放射線の医学的利用等による国民の健康の増進は国の重要な政策目的である。独立行政法人放射線医学総合研究所(以下「放医研」という。)には、事務及び事業の重点化を図りつつ、放射線の人体への影響に関する研究開発、放射線による人体の障害の予防、診断及び治療に関する研究開発、放射線の医学的利用に関する研究開発並びに緊急時被ばく医療の体制整備等を担い、これらの政策目的の達成のために大きく寄与することが期待される。
放医研は、医学、生物学、物理学、化学、薬学等の広範な分野の人材と先端的な研究施設・設備を有する総合的研究機関として、放射線に関する科学分野におけるこれまでの研究実績等を活用し、新興・融合分野においても、放射線と医学に関するミッションオリエンテッドな以下の研究開発及び業務を展開することを目標とする。
- 放射線に関連するライフサイエンス分野において世界を先導する優れた研究成果・技術開発成果を達成し、科学技術の振興と国民の健康の増進に寄与する
- 放射線安全及び緊急被ばく医療に関する研究及び業務を着実に実施し、国民の安全・安心の確保に資する
- 放医研の特徴を活かした人材育成の取組みの強化等により、研究者・技術者の養成を図る
このような基本的目標を実現する上で、放医研の中期目標は以下の通りとする。
I. 中期目標の期間
放医研の実施する科学技術分野の研究開発は、その成果を得るまでに長期間を要するものが多く、長期的観点から目標を定める必要があるため、中期目標の期間は平成18年4月1日から平成23年3月31日までの5年間とする。
II. 国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標
1-1.放射線の人体への影響、放射線による人体の障害の予防、診断及び治療並びに放射線の医学的利用に関する研究開発の業務
[1] 放射線に関するライフサイエンス研究領域(量子ビーム技術の医療応用及び分子イメージング技術に関する研究領域)
国民の健康の増進の観点から社会的関心が高まっている放射線によるがん治療・診断や精神・神経疾患の病態解明・診断・治療等の研究、及びこれらに資するための基礎的な研究等の放射線に関するライフサイエンス研究への重点化を図る。
(1) 放射線に関するライフサイエンス研究
A. 重粒子線がん治療研究
量子ビーム技術の医療応用の促進のため、その成果が国際的に注目されている重粒子線がん治療の国民医療への定着を目指し、以下の研究を行うとともに、重粒子線がん治療の普及に向けた取組みを行う。
- 現在治療が困難な種類のがんの臨床試験を行い、治療法を開発する。また、薬物併用法等、がんをより効率的・効果的に治療するための治療プロトコールを開発する。
- 臨床試験プロトコールに準じて高度先進医療を実施し、治療実績を増加する(臨床試験と合わせて年間治療患者数500人を達成する)。
- 適応症例の拡大等に資するため、より線量集中性の高い治療照射を可能とする次世代の照射技術(呼吸同期可能なスポットスキャニング法)及び照射が困難な部位の治療等を可能とする照射法(回転ガントリー方式)の要素技術の開発研究を行う。
- 普及に取り組む国内各地域の関係者に対し、施設の設計・運営に係る各種の情報提供、必要な技術面、人材育成面での支援を行う。
- 重粒子線がん治療の普及のための取組み等、研究成果の普及を積極的に推進する。
B. 放射線治療に資する放射線生体影響研究
ゲノム解析技術等の先端的なライフサイエンス技術を活用して、放射線治療の高度化等に資する以下のライフサイエンス研究を実施する。
- 先端的分子生物学的解析手法を用いて、重粒子線による腫瘍の制御効果、転移、再発の予測診断に有効な遺伝子群を明らかにする等、重粒子線がん治療の特徴を分子レベルで解明するとともに、より効果的な治療法を提案する。
- 先端的ゲノム解析技術を活用して、放射線治療の遅発性有害事象発症等に関連した遺伝子多型マーカーを同定し、有害事象の予測法を開発する。
C. 分子イメージング研究
世界最高水準のPET(陽電子放射断層撮像法)基盤技術を基に疾患の病態研究・診断研究について、我が国の分子イメージング研究の拠点として、外部資金等も活用し、以下の研究開発を推進し、自ら優れた研究成果を達成するとともに、他の大学、研究機関等に対し成果を提供し、また連携を強化して研究を推進する。
- 腫瘍に特異的な分子プローブを開発し、非侵襲による腫瘍の早期・高精度診断、治療反応性や転移可能性等の高機能診断を可能とする診断法を開発する。
- アルツハイマー病の発症前診断等を可能とする精神・神経疾患の分子イメージング診断手法、薬効評価手法を開発する。
- PETと他の画像化手法との融合等、分子イメージング技術の高度化に資する次世代技術を開発する。
(2) 知的財産の権利化への組織的取組み強化
- 研究成果の活用のため、研究成果の特許化、実用化を促進する。また、民間企業等との共同研究を積極的に実施する。
[2] 放射線安全・緊急被ばく医療研究領域
放射線・原子力の利用に関する国民の安全・安心の確保に資するものに特化して、放射線安全及び緊急被ばく医療に関する研究を着実に行う。
(1) 放射線安全・緊急被ばく医療研究
A. 放射線安全研究
- 高高度飛行に伴う宇宙放射線被ばく、ウラン、トリウム、ラドン等の自然放射線源からの被ばく、医療に伴う被ばくや放射線の環境への影響等、放射線管理・規制上の喫緊の課題に関する評価手法並びに防護対策を提案する。
- 放射線に対する感受性が高いと考えられている胎児や子どものリスク評価のため、発がんや寿命短縮等への影響の感受性時期を明らかにし、年齢依存性を提示する。
- 中性子線等の線エネルギー付与(LET)の高い放射線の生物学的効果比(RBE)の年齢依存性を算出する。
B. 緊急被ばく医療研究
- 高線量被ばく患者に対する効果的な治療法を開発するため、高線量被ばくした細胞や組織の修復等を促進する因子を明らかにし、治療剤の標的となる候補を同定する。
- 細胞や血液等に含まれる生体分子から、治療方針の検定指標となる遺伝子、タンパク質等を明らかにして、革新的な線量評価法のプロトタイプを開発する。
(2) 放射線に関する知的基盤の整備
- 放射線リスク管理及び緊急被ばく医療に関する研究結果・学術情報を整理し、関連する既存のデータベースとの連携確保を図りつつ、国民や規制者が利用可能なデータベースを構築して、国民、規制行政庁、国際機関等に提供する。
[3] 基盤技術の研究、共同研究、萌芽的研究・創成的研究
- 上記[1]及び[2]の研究に関する専門的能力を高める、あるいは基盤的な技術を提供するため、放射線計測技術、実験動物管理・開発技術等に関する基盤研究を行う。また、放医研が有する特殊な施設・設備を活用した共同利用研究、国際共同研究等を実施する。
- 理事長のリーダーシップにより、新興・融合分野等の萌芽的・創成的な研究を推進する。
1-2.研究成果の普及及び成果の活用の促進
- 論文発表等、研究成果の発表を積極的に行う。
- 広報・啓蒙活動 (プレス発表、ホームページ、一般公開、一般講演会、公開講座等) の充実を図る。
2. 研究開発に関連し国民に提供するサービス
[1] 施設及び設備の共用
- 放医研が有する施設・設備について、本来の研究開発業務に影響のない範囲で外部の使用者への共用等を積極的に図る。具体的には、既に共用を実施している重粒子線がん治療装置、荷電粒子励起X線分析装置に加え、マイクロビーム細胞照射装置、生物影響実験用中性子加速器システム、分子イメージング研究に関わるPET等の共用を行う。
[2] 人材育成
- 連携大学院制度の活用等により大学・研究機関等との連携強化を図り、放医研の特長を活かした、研究者・技術者等の人材育成に質・量とも積極的に取り組む。特に重粒子線治療等に係わる医師や医学物理士等の医療関係者、緊急被ばく医療関係者等の人材育成を積極的に推進する。
- 研修については、放医研の特長及び社会的ニーズを踏まえたものに厳選して実施する。
[3] 国際協力及び国内外の機関、大学等との連携の推進
- 我が国の放射線安全研究・緊急被ばく医療・放射線医学利用研究の中核機関として、国連科学委員会(UNSCEAR)や国際原子力機関(IAEA)等の国際機関の要請に的確に対応するとともに、各国の関係機関との間の研究協力、研修等を実施する。
[4] 行政のために必要な業務
- 放射線の人体への影響に関する専門研究機関として、放射線・原子力に関する国民の安全・安心の確保に貢献するため、全国的な緊急被ばく医療の体制整備等、放射線・原子力安全行政への協力・支援を行う。
- 国の委託事業等により、その他の行政ニーズへの対応を着実に実施する。
III. 業務運営の効率化に関する目標
IIにあげた放医研の戦略方針を、理事長の強力なリーダーシップとマネジメントにより実行するため、下記の方針に基づき業務運営の効率化を図る。
- 一般管理費(人件費を含む。なお、退職手当等を除く)については、中期目標期間中にその15%以上を削減するほか、その他の業務経費については、中期目標期間中にその5%以上の業務の効率化を図るものとする。ただし、新規に追加される業務、拡充業務分等はその対象としない。
- 「行政改革の重要方針」(平成17年12月24日閣議決定)を踏まえ、平成18年度以降の5年間で国家公務員に準じた人件費削減を行うとともに、役職員の給与に関し、国家公務員の給与構造改革を踏まえた給与体系の見直しを図る。
1. 研究組織の体制のあり方
- 研究の内容やその機動性・継続性に応じた効果的な組織の編成を行う。
- 人材交流の促進により短期間で一層の研究成果が期待される分野については、集中的に資源を配分し、内外の人材を結集できる外部に開かれた組織体制を構築する。
2. 企画調整機能・資源配分機能の強化
- 国内外の最新の研究動向を調査・把握して、的確な研究戦略の立案を行う企画調整機能・資源配分機能の強化を図る。
3. 効果的な評価の実施
- 評価基準の見直し等により自己評価の充実を図るとともに、国内外の外部有識者による評価・助言を得て、効果的な評価を実施し、研究活動に反映する。
4. 管理業務の効率化
- 管理事務と経営企画、研究の各業務を有機的に編成することにより、研究所の経営戦略、研究戦略を的確に具現化しうる体制を構築する。
5. 研究病院の活用と効率的運営
- 重粒子医科学センター病院について、その業務と密接な関係を有する研究開発等を含めた業務について、特性を踏まえた財務上の適切な整理を行いつつ、病院運営の効率化を図る。
6. 情報化の推進
- 個人情報保護について責任ある体制を構築する。その際、研究所全体の情報化を体系的に推進する。
7.人事制度の改革
- 非公務員化に合わせて、特に研究部門において、研究組織の硬直化を排した人事制度を構築し、研究人材の流動化促進及び多様なキャリアパスの構築を図る。
- 本計画期間中に年俸制等を一部導入し、研究環境の活性化を図る。
IV. 財務内容の改善に関する目標
1. 自己収入の充実
- 外部研究資金の一層の獲得を図る。
- 施設使用料、診療報酬等の自己収入の充実を図る。
2. 経費の効率化
- 効率的な事業運営に努め、運営費交付金を充当して行う業務については、事業費の効率化を図る。ただし、政策として新規に追加される業務、拡充業務分等はその対象としない。
V.その他業務運営に関する重要事項
1.施設、設備に関する事項
- 今後10年間を見据えた施設・設備の長期計画を策定し、着実に実施する。
- 研究を終了する施設について所要の処置をとり、新しい研究課題に対応し、当該施設を効率的に活用することを検討する。
2.人事に関する事項
- 非公務員化に伴うメリットを最大限に活かし、適切な人事制度の整備を図る。