重粒子線治療について知りたい方へ

がん治療の決め手は放射線


死亡原因第1位のがん治療の決め手は放射線です

1998年(平成10年)に全国でがんで亡くなった人は28万3,827人で、亡くなった人全体の30.3%を占めました。亡くなった人のうち3人に1人はがんだったということになります。

また、がんにかかる患者数は今後も増加の傾向であると予想されます。がんは働き盛りの人の命を奪うことが多いため、その社会的影響は、はかり知れないものがあります。

がんの撲滅は国民最大の関心事であり、その日が早く来ることが強く望まれています。

現在、がんの治療法としては外科療法、放射線療法、化学療法などがありますが、がんは単に治りさえすれば良いというものではありません。その人の社会復帰を十分に考えて、臓器や体の形をあまり損なわないように治療することがのぞまれます。その意味でも放射線療法の重要性は、ますます高まりつつあるのです。

がんの治療法

  外科療法 放射線療法 化学療法
適応
  • 早期がんから中等度進行がん(0-II期がん)まで
  • 病変が局所に限局
  • 早期がん(I期)から手術不能の局所進行がん(III期)まで
  • 病変が局所に限局
  • 主としてIV期の遠隔転移のあるがん及び白血病
  • 病変が全身に進展
長所
  • 根治性が高い
  • 機能と形態の欠損が少ない
  • 全身への影響が少ない
  • 早期がんの治療成績は外科療法に匹敵
  • 病状の進行がおさえられたり、延命効果があることもある
短所
  • ときに機能と形態の欠損が大きいことあり
  • 部位・患者の条件(年齢・合併症など)により適応に制限あり
  • 局所進行がんでは根治性は手術療法に劣る
  • ときに局所に副作用を残すことあり
  • 全身への影響が大きい(副作用が強い)
  • 根治性が低い

粒子の大きさ

粒子の大きさ

X線やガンマ線は、電磁波の一種です。陽子線、速中性子線、重粒子線(炭素、ネオン、アルゴン等)は、粒子線とよばれています。

死因別死亡率

死因別死亡率

抵抗性の強いがん、深部のがんに効果的が期待できる粒子線

より良い放射線治療のためには、まず治療効果の大きい放射線を用いなければなりません。治療効果を示す指標としては、生物学的効果比(RBE)酸素増感比(OER)があります。下図からわかるように、速中性子線や重粒子線の治療効果はRBEでみた場合、ガンマ線の3倍、OERでみた場合は約2倍です。

一方、正常組織に対する障害の少ない放射線を用いることも大事です。そのためには照射された放射線の強さ(線量)が、体内でどのように変化するかを知る必要があります。その様子を示したものが右図の線量分布です。ガンマ線や速中性子線は身体表面近くでもっとも強く、深く進むにつれて減弱します。このことは、深部のがんを治療する場合、それに至るまでに正常組織が障害を受けやすく、またもっと深部にまで影響を与えてしまうことを示しています。これにくらべて、陽子線や重粒子(重イオン)線の場合はエネルギーに応じてある深さで急に強くなりますが、その前後は弱いので、ピークの部分をがんの患部に合わせることにより、正常組織の障害を少なくすることができます。

各種放射線の生体内における線量分布

各種放射線の生体内における線量分布

上図の線量分布の良さに加えて、下図の二つの効果が加わり、非常に効果的な治療ができると考えられます。

RBE/OER

生物学的効果比(RBE)
放射線の生体に対する作用の程度を示すもので、放射線治療を行う際には、RBEが大きいほど、がん患部の治療効果は大きくなります。

酸素増感比(OER)
がん細胞の放射線に対する感受性の度合いを示すもので、酸素濃度の低いがんこながん細胞に対しては、OERが小さいほど、効果的な治療ができます。

本文はここまでです。この後に、関連リンクが続きます。 ページトップへ