重粒子線治療について知りたい方へ

重イオン線は、ほかにも治療に適した特徴がありますか?

放射線による深部線量分布を示します。体内に入射した重イオン線は、ほぼまっすぐに進みながら、物質にエネルギーを与えて遅くなっていき、一定の深さで止まります。速さが半分になる迄に深さ方向では8割方進みます。遅くなるとまわりに与えるエネルギーが大きくなり、概ね速度が半分になるとエネルギーの与え方が4倍という割合ですので、停止する直前で線量がピークを作ります。このピークを発見者に因んでブラッグピークと呼びます。がんの位置・大きさに応じてたくさんのブラッグピークを重ね合わせるようにすると、重イオン線の効果をがんの部分に集中させる、いわばがん細胞を「狙い打ち」することが出来るわけです。従来のX線では、体内に入射した放射線は体をつきぬけてしまうため、まわりの正常組織を避けるのが困難です。これらのちがいは、体のどの部分にどの程度の線量が照射されるかを示す線量分布図によって明かとなります

図:放射線の生体内における線量分布

グラフの説明 : このグラフは、体の中に重イオン線とX線を照射した場合の減衰を比較したものです。X線は、体の浅い部分で強く、しだい減衰していきます。一方、重イオン線には、体の浅いところで弱く、ある一定の深さで急に強くなる性質があります。

図:ブラッグピークと重イオン線のピーク

グラフの説明 : 櫛状のフィルター(リッジフィルター)を使って、いろいろな深さのブラッグピークを作り(赤)、その結果腫瘍の位置・大きさに応じて拡大した重イオン線のピーク(青)を作成します。

重イオン線の線量分布とX線の線量分布を比較しました。X線では腸管や膀胱といった内臓を完全にさけることがむずかしいのですが、重イオン線では赤い病巣以外はほとんど照射されず、重イオン線の特徴である“優れた線量分布”が一目瞭然です。

図:重粒子線とX線の線量分布の比較

図の説明 : 同じ骨盤部の腫瘍に対し、重イオン線とX線を照射したときの線量分布を比較してみました。黄色で囲った標的には、どちらも高線量が照射されています。しかし、X線では膀胱や消化管といった周囲の正常組織を避けることができませんが、重イオン線ではこれらを避けることができます。

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