適応となっている疾患について

3. 化学療法併用術前重粒子線治療について

3-1 術前治療として化学療法併用重粒子線照射を行う背景

 切除可能な食道癌に対する治療は、手術が最も根治性が高く標準的治療とされていますが、行癌では高率に再発が認められます。手術成績の向上を目的として様々な補助療法が手術に併用されていて、日本では、現時点でII期またはIII期食道癌の標準的治療は、術前化学療法(FP療法)とみなされていますが、5年生存割合は55%(手術を受けた人の55%が5年間生存)であり、まだ満足できる結果ではありません。さらなる成績向上のため、より有効な補助療法の開発が必要と考えられます。

 この臨床試験に先がけて行われた炭素イオン線を用いた短期術前照射では、副作用は軽微でした。これは、優れた線量集中性により高線量域を食道および所属リンパ節領域に限局することができたためと考えられます。一方、照射野外の再発が少なくなく、これを減少させることが重要と考えます。そこで、術前治療として用いた8回/2週間の炭素イオン線照射を、標準的な化学療法(FP療法)に組み合わせることで、術後再発の減少および治療成績の向上が期待できると考えられ、新たな臨床試験を企画しました。

3-2 化学療法併用術前重粒子線治療の概要、適応

1. 概要

臨床病期II期、III期胸部食道扁平上皮癌に対する手術を前提とした炭素イオン線治療と化学療法の第I/II相試験です。第I/II相試験とは安全性と有効性を確認する臨床試験で、安全性を確認しながら線量を徐々に増やしています。

炭素イオン線治療は、1日1回、週に3-4回、合計8回の照射を行います。治療期間は約2週間です。

化学療法は、シスプラチンを1日目に、5-FUを1-4日目に投与します。これを3週間の間隔で2度行います。1コース目は炭素イオン線治療の1日目と同じ日に開始して、両治療を併用しますが、2コース目は化学療法単独治療です。

手術は術前治療終了後、8週以内に行われます。手術の方法は各施設の判断に任されます。

2. 適格条件

治療を受けていただくためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  1. 組織学的に確認された胸部食道扁平上皮癌である。
  2. 臨床病期が II期またはIII期(T4を除く)である。
  3. 内視鏡で治療効果の評価が可能な病変である。
  4. 年齢は20歳以上、75歳以下である。
  5. PS(ECOG)が0または1である。
  6. 食道癌根治手術が可能である。
  7. 当該食道癌に対する治療歴がない。
  8. 主要臓器(骨髄・肝・腎など)の機能が保たれている。
  9. 患者本人から文書による同意が得られている。

3. 不適格条件

以下の条件が1つでも該当する患者さんは対象外となります。

  1. 当該照射部位に放射線治療の既往がある。
  2. 他臓器に活動性の重複癌(同時性重複癌および無病期間が5年以内の異時性重複癌)がある。
  3. 活動性の間質性肺炎を有する。
  4. 当該照射予定領域に活動性で難治性の感染を有する。
  5. HBs抗原、HCV抗体、HIV抗体又はHTLV-1抗体が陽性。
  6. 試験責任(分担)医師が本試験の対象として不適切と判断した場合。

  1. 当院を受診していただくに際して
  2. 食道癌の一般的な治療について
  3. 化学療法併用術前重粒子線治療について
  4. 食道癌に対する重粒子線治療の手順
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