適応となっている疾患について

2.まず理解していただきたいこと

2-1.治療の目的

涙腺腫瘍は涙腺から発生し、放置しておくと、腫瘍が大きくなり、疼痛、視力障害などを起こすばかりでなく、腫瘍細胞が全身に転移を起こし、生命を失う危険性があります。一般的な治療方法としては、手術療法が主体になっており、通常は眼窩内容除去術という眼球を含めた眼窩内の組織を全て取り去る手術が行われます。通常、放射線療法や化学療法だけで治癒を目的とした治療が行われることはなく、これらの治療法は手術と組み合わせて取りきれなかった癌細胞の増殖を抑えたり、再発を予防する目的で用いられています。しかしそれでもこれまでの治療成績は、十分に良好といえるほどではなく、手術療法と放射線療法を組み合わせた場合でも、約半数の患者さんで再発が見られていると報告されています。

重粒子線治療では、かつては腫瘍とその周囲のみを照射し、可能な限り視機能の温存を図っていました。しかし照射範囲を絞った方法では高い辺縁再発率を認めたため、現在では眼窩全体が照射範囲となるように設定しています。その結果、眼球と視神経全体が高線量照射されるため、視力の温存はできませんが、辺縁再発率は低減しました。
(Mizoguchi N et al. Radiother Oncol. 2015;114:373-377)

2-2.予想される副作用

重粒子線治療によって起こる可能性のある有害反応(副作用)は以下の通りです。

1)涙腺

涙腺全体に高い線量が照射され、涙腺の機能が徐々に低下し、涙が出なくなって眼球の表面の乾燥や角膜の混濁をきたすことがあります。

2)眼球

治療後の患側眼の失明は必発です。1年〜1年半くらいかけて除々に視力が低下します。また二次的に難治性の緑内障となって、眼痛が出現することもあります。重度の眼痛により眼球を摘出しなければならなくなることもまれにあります。また、緑内障が発症した後に、時間が経過して今度は眼球内圧が低下し眼球本来の形を維持できなくなる(眼球瘻)となることがあります。

3)筋肉・血管

眼窩内の筋肉が硬くなり、眼球の動きが不十分になる可能性があります。

4)皮膚

多くの場合、日焼けのような症状(発赤、軽い痛み、かゆみなど)で済みますが、びらん、潰瘍、色素沈着、色素脱失などが生じる可能性があります。

5)その他

長期間経過後、まれに放射線による新たながんが発生(2次発がん)する可能性があります。


※治療効果や合併症等の詳細につきましては、治療開始時にご説明させていただきます。
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