適応となっている疾患について

5. これまでの治療成績

5-1. 臨床試験の経過

眼球腫瘍の陽子線治療は1986年に開始され、1996年4月からは第2相臨床試験として治療を行ってきました。2002年度末の時点で、この病気に対する重粒子線治療の安全性・有効性が確認されたことと、陽子線治療施設の老朽化を理由に、陽子線治療のプロジェクトは終了となりました。重粒子線治療は、2001年1月から開始され、2004年4月からは先進医療の運用を開始し、2016年3月までに166名の患者さんがこの治療を受けられました。

5-2. 治療成績

5-2-1. 抗腫瘍効果

2016年3月現在、眼球内悪性黒色種に対する重粒子線治療を受けられた166名のうち、照射した眼球内の腫瘍が再び増大してきた患者さんが6名おられます。一方、眼球以外の場所に転移が発見された患者さんは41名おられます。本治療は転移が出現しやすい大きな腫瘍を対象としてきたため、ある程度の頻度で遠隔転移が発生することは避けられないと考えています。以下に示すように、これまでの重粒子線治療成績から、腫瘍が大きくても局所再発の無い状態を実現できる確率が高く(5年局所制御率 93%)、この病気に対する優れた治療法であると考えています。腫瘍の大きさや部位によっては転移を生じる危険がありますが、それは手術など他の治療法でも同様です。局所療法として眼球や視力温存の可能性を図りながら、かつ手術に劣らない確率で原発巣を制御可能なことが重粒子線治療の優れている点と考えています

5-2-2. 副作用

治療後の副作用の発生率は、病巣の部位や大きさによると考えられています。視力は多くの場合、低下もしくは失明することになります。しかし治療後長期に経過した方の中にも視力が温存され、その他の副作用がほとんど無い方もおられます。その他の重要な副作用に、緑内障(眼圧亢進とそれに伴う疼痛)があります。2016年3月までに治療を施行した166名のうち、眼圧が上昇して緑内障となり、高度な眼痛のため眼球摘出を施行せざるを得なかった患者さんは4名おられました。最近では、緑内障の回避や視力温存の可能性を高めるため、可能な限り前方と側方からの2門照射を行っており、その結果 緑内障の発生頻度は減少しています(Toyama S et al. Int J Radiat Oncol Biol Phys. 2013;86:270-276)。
治療効果や合併症等の詳細につきましては、治療開始時にご説明させていただきます。

参考資料

  1. 当院を受診していただくに際して

  2. 眼球悪性黒色腫について、まず理解していただきたいこと (治療の目的・予想される副作用)

  3. 眼球悪性黒色腫に対する治療の適応

  4. 治療の流れ

  5. これまでの治療成績

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