適応となっている疾患について

2. 大腸がん術後再発に対する治療の現状と重粒子線治療への期待

大腸癌手術後の骨盤内局所再発は近年、術式や手術操作の改良により再発率は低下してきていますが、現在でも手術後約20%に再発はみられています。局所再発により患者さんは疼痛をはじめとする種々の症状に悩まされることが多いことが特徴です。再発病巣に対する治療は外科的切除が第一選択ですが、切除不能なことがほとんどです。一方、大腸癌手術後再発における放射線治療の成績は決して良好とはいえません。平均生存期間で1年前後、3年生存率は10%以下という報告がほとんどであり、従来のX線照射では十分な治療効果を得ることができませんでした。その理由として、1.直腸癌は高分化型腺癌であることが多く、通常の放射線に対して感受性が低いこと、および2.周囲の消化管、膀胱など比較的放射線に対する耐容線量が低い重要臓器を照射野から外すことが困難なため、十分量の放射線を病巣に集中させることができなかったこと、などが考えられています。大腸癌術後の腹腔内リンパ節再発に関しても同様な特徴が認められます。

重粒子線は、通常の放射線治療に使われている高エネルギーX線治療とは異なる特徴を持っています。X線は人体を透過してしまうのに対して、重粒子線は任意の深さで止めることが可能です。この性質を用いて、腫瘍の深さに応じて、最適エネルギーに粒子を加速し、深部がん治療に適した線量分布を作成し、放射線に弱い臓器を避け、腫瘍を狙い撃つことが可能となります。また、重粒子線はX線や陽子線に比べて高い殺細胞効果を呈するので、放射線抵抗性とされている腺癌系に対しても有効な治療法と考えられます。したがって、重粒子線を大腸癌術後再発に応用し、再発病巣に線量を集中して照射を行えば、周囲の正常組織に過大な負担をかけることなく治療成績を向上させることができると期待されます。


  1. 当院を受診していただくに際して
  2. 大腸がん術後再発に対する治療の現状と重粒子線治療への期待
  3. 治療の適応
  4. 大腸がんに対する重粒子線治療の手順の説明
  5. 治療成績
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