適応となっている疾患について

粘膜悪性黒色種に対する治療

本邦における頭頸部領域の皮膚を含む悪性黒色腫は、全身の悪性黒色腫中33〜56%であり、そのうち頭頸部領域の粘膜悪性黒色腫は、35〜48%を占めており、欧米(2.7〜7.6%)に比べ比率が高い疾患です。

発生した頭頸部領域の粘膜悪性黒色腫に対しては、通常のX線治療単独や抗がん剤治療単独では難治なことが多く、治療の第一は広範な外科切除です。しかし、外科切除においては顔面・頭頸部の機能および美容上の問題から広範な安全域を十分にとった切除・再建は困難なことが多く、その際は放射線治療や薬物治療を併用して治療を行います。しかし、報告されている5年生存率は30%前後です。

1997年4月から行われた、粘膜悪性黒色腫に対する重粒子線単独治療では、高い局所治療効果を認めましたが、治療前にN0M0[リンパ節転移・遠隔転移がない]と診断されていたにも関わらず、治療後に遠隔転移が多くみられ、局所制御に見合った生存率が得られませんでした。その結果、通常の方法では診断不可能な、いわゆる潜在性転移に対する対応が必要であると判断されました。

これまで頭頸部領域の粘膜悪性黒色腫における潜在性転移に対する抗がん剤治療の研究はほとんど見当たりませんが、その原因は良好な局所制御を得る治療方法がなかったことにあります。そこで、治療開始時の潜在性転移の抑制を目的として、2001年4月よりDAV化学療法(DTIC, ACNU, VCR)併用重粒子線治療が開始され、2003年からは先進医療として治療を行っています。DAV化学療法は、本邦でも特に皮膚悪性黒色腫に対して外科手術と併用した使用経験が豊富で比較的安全に遂行可能な抗がん剤治療であり、全身状態を確認しながら5日間を1コースとして、4週おきに全5コースを目標として行います。化学療法の有害反応は主に骨髄機能抑制、肝機能障害や軽度の食欲不振で、併用による重粒子線治療の有害反応の増悪は見られませんでした。DAV化学療法併用重粒子線治療では、局所制御に加えて後発遠隔転移の抑制による生存期間の向上が得られており、現在のところ5年生存率は50%を超える成績が得られています。

本文はここまでです。この後に、関連リンクが続きます。 ページトップへ