国際原子力機関(IAEA)のNORM規制に関する情報
 IAEA安全指針(RS-G-1.7)において国際防護規準の適用から除外するための規準値が提案されています(以降、IAEA規準値と省略します)。IAEAでは、物質中の自然起源の放射性核種が、表に示されたIAEA規準値以下の場合、放射線防護の管理の対象として考える必要はないとしています。また、IAEA規準値の放射能濃度を有した自然起源放射性物質を用いて作業した場合、作業者の被ばく量は最大で1 mSv/年をこえないだろうとしています。

<パラグラフの要点>
1.6
RS-G-1.7の目的は、BSSで提案されている除外、免除、クリアランスの概念を実際に適用する際の放射能濃度値を提案することにある。

1.8
この安全指針で適用される放射能濃度は下記の適用を受けない。
・食物、飲料水、動物の飼料、食物や動物に使用することを意図とした物質
・空気中のラドン(対策レベルが用意されている)
・体内のK-40
・IAEAの輸送規準TS-R-1に従って輸送される物質
・認可された施設からの排気・排水
・汚染された土地の再使用

2.10
BSSの免除レベルが適用される量は1トン程度までである。

3.3
表1自然起源放射性核種の放射能濃度
自然起源の放射性核種 放射能濃度
(Bq/g)
K-40 (カリウム40) 10
K-40以外の核種 1
自然起源の放射性核種の放射能濃度はUNSCEAR2000で示されている世界の土壌の上限を基に設定されている。ラドンによる被ばくを除けば、1mSv/yをこえないだろうとしている。

4.2
表1は除外の概念に基づく自然起源の核種の濃度である。

4.3
U-238系列, U-235系列, Th-232系列核種はそれぞれの親核種に表1の濃度値が適用される。表1の値は壊変系列の子孫核種に使用できる。

4.4
人工の核種を含む大量物質(1ton以上)については、表2に示した濃度が免除の概念で適用される。

表2 人工放射性核種の放射能濃度値
核種 放射能濃度
Bq/g
核種 Bq/g 核種 Bq/g 核種 Bq/g
H-3 100 Mo-101 10 * Eu-154 0.1 Am-242m 0.1
Be-7 10 Tc-96 1 Eu-155 1 Am-243 0.1
C-14 1 Tc-96m 1000 * Gd-153 10 Cm-242 10
F-18 10 * Tc-97 10 Gd-159 100 * Cm-243 1
Na-22 0.1 Tc-97m 100 Tb-160 1 Cm-244 1
Na-24 1 * Tc-99 1 Dy-165 1000 * Cm-245 0.1
Si-31 1000 * Tc-99m 100 * Dy-166 100 Cm-246 0.1
P-32 1000 Ru-97 10 Ho-166 100 Cm-247 0.1
P-33 1000 Ru-103 1 Er-169 1000 Cm-248 0.1
S-35 100 Ru-105 10 * Er-171 100 * Bk-249 100
Cl-36 1 Ru-106 0.1 Tm-170 100 Cf-246 1000
Cl-38 10 * Rh-103m 10000 * Tm-171 1000 Cf-248 1
K-42 100 Rh-105 100 Yb-175 100 Cf-249 0.1
K-43 10 * Pd-103 1000 Lu-177 100 Cf-250 1
Ca-45 100 Pd-109 100 Hf-181 1 Cf-251 0.1
Ca-47 10 Ag-105 1 Ta-182 0.1 Cf-252 1
Sc-46 0.1 Ag-110m 0.1 W-181 10 Cf-253 100
Sc-47 100 Ag-111 100 W-185 1000 Cf-254 1
Sc-48 1 Cd-109 1 W-187 10 Es-253 100
V-48 1 Cd-115 10 Re-186 1000 Es-254 0.1
Cr-51 100 Cd-115m 100 Re-188 100 * Es-254m 10
Mn-51 10 * In-111 10 Os-185 1 Fm-254 10000*
Mn-52 1 In-113m 100 * Os-191 100 Fm-255 100*
Mn-52m 10 * In-114m 10 Os-191m 1000 *    
Mn-53 100 In-115m 100 * Os-193 100    
Mn-54 0.1 Sn-113 1 Ir-190 1    
Mn-56 10 * Sn-125 10 Ir-192 1    
Fe-52 10 * Sb-122 10 Ir-194 100 *    
Fe-55 1000 Sb-124 1 Pt-191 10    
Fe-59 1 Sb-125 0.1 Pt-193m 1000    
Co-55 10 * Te-123m 1 Pt-197 1000 *    
Co-56 0.1 Te-125m 1000 Pt-197m 100 *    
Co-57 1 Te-127 1000 Au-198 10    
Co-58 1 Te-127m 10 Au-199 100    
Co-58m 10000 * Te-129 100 * Hg-197 100    
Co-60 0.1 Te-129m 10 Hg-197m 100    
Co-60m 1000 * Te-131 100 * Hg-203 10    
Co-61 100 * Te-131m 10 Tl-200 10    
Co-62m 10 * Te-132 1 Tl-201 100    
Ni-59 100 Te-133 10 * Tl-202 10    
Ni-63 100 Te-133m 10 * Tl-204 1    
Ni-65 10 * Te-134 10 * Pb-203 10    
Cu-64 100 * I-123 100 Bi-206 1    
Zn-65 0.1 I-125 100 Bi-207 0.1    
Zn-69 1000 * I-126 10 Po-203 10 *    
Zn-69m 10 * I-129 0.01 Po-205 10 *    
Ga-72 10 * I-130 10 * Po-207 10 *    
Ge-71 10000 I-131 10 At-211 1000    
As-73 1000 I-132 10 * Ra-225 10    
As-74 10 * I-133 10 * Ra-227 100    
As-76 10 * I-134 10 * Th-226 1000    
As-77 1000 I-135 10 * Th-229 0.1    
Se-75 1 Cs-129 10 Pa-230 10    
Br-82 1 Cs-131 1000 Pa-233 10    
Rb-86 100 Cs-132 10 U-230 10    
Sr-85 1 Cs-134 0.1 U-231 100    
Sr-85m 100 * Cs-134m 1000 * U-232 0.1    
Sr-87m 100 * Cs-135 100 U-233 1    
Sr-89 1000 Cs-136 1 U-236 10    
Sr-90 1 Cs-137 0.1 U-237 100    
Sr-91 10 * Cs-138 10 * U-239 100 *    
Sr-92 10 * Ba-131 10 U-240 100 *    
Y-90 1000 Ba-140 1 Np-237 1    
Y-91 100 La-140 1 Np-239 100    
Y-91m 100 * Ce-139 1 Np-240 10 *    
Y-92 100 * Ce-141 100 Pu-234 100 *    
Y-93 100 * Ce-143 10 Pu-235 100 *    
Zr-93 10 * Ce-144 10 Pu-236 1    
Zr-95 1 Pr-142 100 * Pu-237 100    
Zr-97 10 * Pr-143 1000 Pu-238 0.1    
Nb-93m 10 Nd-147 100 Pu-239 0.1    
Nb-94 0.1 Nd-149 100 * Pu-240 0.1    
Nb-95 1 Pm-147 1000 Pu-241 10    
Nb-97 10 * Pm-149 1000 Pu-242 0.1    
Nb-98 10 * Sm-151 1000 Pu-243 1000 *    
Mo-90 10 * Sm-153 100 Pu-244 0.1    
Mo-93 10 Eu-152 0.1 Am-241 0.1    
Mo-99 10 Eu-152m 100 * Am-242 1000 *    
*は半減期1日以下の核種

4.6
様々な自然起源放射性核種を含む物質には、それぞれの核種を1Bq/g以下にすべきである。
(例えば、U-238とTh-232が含まれていた場合、U-238とTh-232のそれぞれを1Bq/g以下にしなければならない)

4.7
様々な人工の核種を含んだ物質の場合は下記の合算式で決定される。
Ci(放射能濃度)/activity(表2の値)≦1

4.8
両方存在する場合は、表1と4.6-4.7の両方を満足しなければならない。

5.2
自然の放射性核種において、表1の濃度を超える場合は、規制当局はBSSで設定されている規制の必要性をどの程度適用させるか決定すべきである。

5.3
表1の値は、管理からはずすこと(クリアランス)にも適用可能。
 
  国際放射線防護委員会(ICRP)のNORM規制に関する情報
 自然起源放射性物質の利用は、「行為」と「介入」の両方の要素を持つと考えられます。ICRP Publ.82では、「介入」の対象となる主な種類の商品からの予測される個人年線量の介入免除レベルについて、おおよそ1mSvの値を勧告しています。
<補足説明>
「行為」:ある便益を得る目的で、計画された選択の問題として採用されるもの。
「介入」:その存在が健康上の問題であるかもしれないが選択の問題ではなく、すでに事実上存在する被ばくを減らすことを意図しているもの。
 
  欧州委員会(EC)のNORM規制に関する情報
 欧州委員会報告書 RP-122「規制免除とクリアランスの概念の自然放射線源への適用, 2001」おいて、規制免除に関する線量基準として0.3mSv/年が採用されています。この基準は、以下の理由で正当化されます。
・自然放射線バックグラウンドからの全実効線量の地域的変動と同程度か、それより小さい(外部被ばくのみ)
・建築材料に対して提案された規制免除レベル(RP-112)と一貫している。
・廃液の管理に対して役立つように考えられているいかなる線量拘束値(行為に対してICRPにより勧告されている300μSv、作業活動に対してはさらに高い1mSv)とも一貫している。





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