放射線医学総合研究所とは?

“放射線”と“人の健康”を見つめ未来の医療に貢献する

放射線と人々の健康に関わる研究開発に取り組む「国内唯一」の研究機関

人類は有史以来、様々な形で放射線と関わってきました。現在では、人々は医療をはじめとする様々な分野でその恩恵を受けることができるようになりましたが、その反面、放射能汚染や放射線被ばくによる環境や健康へのリスクが重要な課題となっています。人々が安全に放射線の恩恵を享受するためには、そのリスクに対する評価を常に行っていく努力が求められているのです。

独立行政法人放射線医学総合研究所(放医研)では、1957(昭和32)年の創立以来放射線と人々の健康に関わる総合的な研究開発に取り組む国内で唯一の研究機関として、放射線医学に関する科学技術水準の向上を目指して活動してきました。

今後、研究開発業務の一層の活性化と効率化を図るとともに、その透明性を高めて広く開かれた研究機関として活動し、世界における卓越した研究拠点(Center of Excellence : COE)へと発展させて行きたいと考えています。

研究開発における「柱」と「組織」

放医研は、重粒子線を用いたがん治療研究や、生体における分子レベルの異常を画像化する分子イメージング研究を中心とした「放射線の医学的利用のための研究」と、万が一に備える「放射線安全・緊急被ばく医療研究」を2つの柱として様々な研究を遂行しています。

また研究開発を推進するために、以下5つのセンターを組織しています。

  • 重粒子医科学センター 人に優しいがん治療の期待を担って
  • 分子イメージング研究センター 分子で読み解く生命の姿
  • 放射線防護研究センター 放射線の人と環境への影響
  • 緊急被ばく医療研究センター 被ばく医療の中核として
  • 研究基盤センター 放医研の幅広い研究を支える

写真:重粒子医科学センター

写真:分子イメージング棟

放医研の研究開発を推進するセンター

各センターが取り組む研究領域

重粒子医科学センター

がんは単に治りさえすれば良いというものではなく、患者さんの社会復帰を充分に考えた、臓器や体の形を可能な限り損ねない治療が望まれています。

重粒子線による最先端の放射線治療は、患者さんの身体的負担の少ない、人に優しい治療法として大きな期待を担っています。
特に難治性のがんに対して高い治療効果が認められ、厚生労働省によって先進医療に承認されました。

この分野を主導する研究機関として重粒子医科学センターでは、治療法のさらなる高度化と全国的な普及を目指した研究開発に取り組んでいます。

写真:HIMAC治療照射室

図:重粒子線がん治療を支える装置(HIMAC)

分子イメージング研究センター

分子イメージングとは、生体内で起こる様々な生命現象を外部から分子レベルで捉えて画像化することであり、生命の統合的理解を深める新しいライフサイエンス研究分野です。
放医研では長年にわたりPETやMRI等の画像診断機器を用いた画像医学研究に取り組んできました。

一例として、がん細胞に特異的な機能を可視化したり、統合失調症・うつ病・認知症等の精神神経疾患を解明をしたりと、早期診断法の開発を目標として、臨床研究と基礎研究の両面に取り組んでいます。

また、分子プローブの開発や放射薬剤製造技術開発、PET開発やMRIの計測技術開発等、幅広い研究を行っています。

写真:画像診断機器(PET)

写真:PETによる画像研究の例

放射線防護研究センター

安全に、そして安心して放射線を利用するためには、科学的な根拠に基づいた放射線取り扱いの規制や管理が重要です。

放射線防護研究センターでは、まず、環境中の放射線や放射性物質によって、あるいは放射線の利用にともなって、人や環境がどれほどの放射線を受けるかを調べています。
また、どれほどの放射線が、人や環境にどれほどの影響をおよぼすのかについて、その仕組みの解明と定量的な評価を目指しています。

さらに、これらの研究成果を取りまとめて、放射線の影響についての理解を促進し、より合理的な規制に反映させるための情報発信を行っています。

写真:放射線の影響を組織レベルで分析

緊急被ばく医療研究センター

放射線の利用にあたっては細心の注意が払われ、適切な放射線防護措置が講じられていますが、放射線被ばく事故が起こる確率はゼロではありません。
この万が一の事故が発生した場合、すなわち原子力災害や放射線事故等で被ばくしたり、放射性物質に汚染された場合に行う医療を緊急被ばく医療と呼びます。

放医研は、我が国の原子力防災体制において被ばく医療機関の中核と位置づけられ、高度な緊急被ばく医療を行う放射線障害専門病院としての任務を担っています。
また、様々な研究・調査を行うとともに緊急被ばく医療体制の確立に取り組み、必要な施設・機器等の維持・整備等も行っています。

写真:緊急被ばく医療訓練

写真:緊急被ばく医療支援チーム

研究基盤センター

研究所に必要な先端的な研究開発を行うとともに、実験動物の供給など、基盤技術を提供しています。
また、放射線科学分野に携わる人材の育成、情報技術と情報基盤の整備、長期的な展望に立った研究設備の整備、および、研究を安全に進めるための業務を行っています。

国際社会に貢献する組織であるために

放医研は、国際機関あるいは外国の大学・研究機関との協力・交流、発展途上国の放射線作業従事者への技術協力を積極的に推進し、人体におよぼす
放射線リスクの低減および放射線の平和利用に関する研究に、世界的に取り組んでいます。

2010(平成22)年1月には、「放射線生物影響」に加え、「分子イメージング」および「重粒子線治療」の総合的な放射線医療分野で国際原子力機関(IAEA)の協働センターに認定されました。
数多くの国際機関に専門委員を派遣したり、国際的な放射線防護基準づくりに参加することで、国際社会への貢献も果たしています。

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